教育学部 10周年記念座談会
椙山の教育学部で学んだことを糧に、教育業界はじめ各界へはばたく卒業生たち
7 学部を擁する椙山女学園大学のなかで2 番目に新しい教育学部が、開設10周年を迎えることとなりました。
そこで、10周年を祝う記念懇親会の後、森棟公夫学長や椙山正弘学園長をはじめ、教育学部にゆかりのある先生方にお集まりいただき、卒業生を囲んでの座談会を開催しました。
10年の歳月で培われた教育学部の伝統から意外な活躍の場まで、椙山女学園大学の教育学部ならではの魅力を縦横に語り合っていただきました。
◆ 座談会参加者プロフィール
       
       
       
       
   
       
   
       
   

めざしたのは、即戦力となる教員養成

宇土先生:
皆さまお忙しいなか、教育学部開設10周年を記念した座談会にお集まりいただき、現在の学部長として最初に一言、お礼を申し上げます。ありがとうございます。
さて本日は、森棟学長や椙山学園長をはじめ諸先生方とともに教育学部の卒業生4名を囲みまして、本学部の魅力について語り合いたいと思います。よろしくお願いいたします。
森棟先生:
教育学部は2007年の開設でしたね。
椙山先生:
そうです。それまでは少子化を背景に文部科学省の方針で教員養成課程の新設や定員増がずっと規制されていました。ところが団塊の世代の教員が定年間近となるため、2005年にようやくその規制が解除されたのです。
そこで、すぐに設置に向けて準備を始めましたので、2年後に開設できたときは本当に嬉しかったのを覚えています。しかも、認可において一つも留意事項が付かなかったのは、非常に稀なケースで、それだけ準備が完璧であったことの表れであり、さらに椙山女学園の110年以上にわたる教育実績の積み重ねも評価されたからだと思います。
國井先生:
初代の学部長を務められた甲斐先生は、当時、どのような学部をめざしておられたのでしょうか?
甲斐先生:
最も力を入れたのは、即戦力となる教員の養成です。1年次から教育現場を知ってもらおうと、「ふれあい実習」を導入し、実際に子どもたちに接する時間を豊富に確保したのもそのひとつです。
その点、幼稚園から大学院まですべての校種が学園内に揃っていたのは大きなメリットでした。現在は保育園もできましたので、さらに充実した実習が行えているのではないでしょうか。
椙山先生:
ケースメソッドという、当時としてはまだ新しいカリキュラムを採用したのも、実践力を重視したからです。
甲斐先生:
そうですね。ケースメソッドは、教育現場が抱えるさまざまな問題について学生が主体となって調査や実践を行う、いまでいうアクティブ・ラーニングの一種です。テーマを深く掘り下げて研究をするので、実践力を身につけるのにはたいへん有効な手法といえます。
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学習意欲の高さは、教育学部のカルチャー

森棟先生:
それに、教育学部の学生はみなさん、ものすごく勉強をしますね。私自身の学生生活と比べ、その勉強量と熱心さには圧倒されます。
宮川先生:
小さい演習室なども、よく学生が占拠して勉強していますからね。
國井先生:
教員採用試験の時期には、夏休みでも毎日大学に来て勉強していますよ。
早川先生:
教員の研究室で学生が勉強をしているのは、本当にすごいと思います。これは教育学部の独特のカルチャーです。先生方の指導も、手取り足取り実にきめ細かくて、面倒見がいいんですよね。
宇土先生:
先日も、学生が夜10時半ごろまで私の研究室で勉強しているので、「大丈夫かな」と心配したほどです。椙山女学園で教えはじめて10年ほどになりますが、この「学生同士が学び合う姿勢を持っていること」ともう一つ「きちんと挨拶ができる」ということ、この2つは本学の教育学部の誇るべき文化で、学生の皆さんがつくりあげてくれたものだと思います。
宮川先生:
その点、卒業生のみなさんの目から見ていかがですか?
伊東さん:
私は4回生なんですが、実際によく空き教室でみんなと勉強していました。
先輩たちもそうだったので、自然とそうなっていったんだと思います。
 

現場で活きる、椙山の学び

國井先生:
椙山で学んだことは、いまの仕事や生活に役立っていますか?
伊東さん:
はい。私は卒業後3年間、幼稚園で働き、いまは椙山女学園大学附属幼稚園の預かり保育で働いていますので、仕事をするうえではもちろん役に立っていますし、将来自分が子どもを産んだときにも役立つだろうなと思います。
早川先生:
伊東さんは、いつごろから幼稚園教諭を志したのですか?
伊東さん:
幼稚園のときの担任の先生に憧れて、ずっと幼稚園の先生になりたい、あの先生のようになるんだと決めていました。実は、小学校から椙山女学園に通ってきたので、高校1年のときに教育学部ができたと知ったときは、「ラッキー!」と思いました。それで、迷わず椙山の教育学部に進学したんです。
宮川先生:
初志貫徹というわけですね。各務さんは、小学校の先生でしたね。
各務さん:
はい。地元の小学校で教員をしています。
いま一番役に立っていると思うのは、子どもたちがどんなところでつまずくのかを具体的に学べたことですね。実際に現場に出てみると、確かに学んだ通りのところで子どもたちが困っていたりして、そういう場合のアプローチの仕方も大学で研究したことをヒントに対応しています。
先日も、「一緒になって考えてくれて嬉しかった」という言葉を子どもたちからもらって、「椙山で学んでよかったな」と思いました。
森棟先生:
甲斐先生のおっしゃった「実践力を養う教育」がいかに重要なのか、ということですね。
宇土先生:
実践的といえば、「毎日英会話」という授業もたいへん実践的で評価の高いカリキュラムですよね。これはぜひ、椙山先生に伺いたかったのですが、どういう経緯で必修科目に導入されたのでしょうか?
椙山先生
「毎日英会話」は、もともとオープンカレッジで行われていたものです。
毎日40分、ネイティブの先生の下で英語によるコミュニケーション力を身につけていくのですが、最初から小学校教育のなかで英語が教科になると予測していたわけではなく、実際に応用できる英語を身につけることは極めて重要なことだと考えて実施してきたのです。
さらに、英語を学ぶだけでなく、「英語を教える力」も重視して、3年目から英語を使って英語を教えるプログラムを組み込みました。これが功を奏し、学生のレベルが飛躍的に向上したと思います。
このプログラムは全国の大学から注目され、見学者が相次いでいるほどです。特に注目されるようになったのは、2011 年に小学校で英語教育が必修化されてからではないでしょうか。
英語教育には尻込みする先生が多いなか、椙山の卒業生は英語を教えることができると評判になりました。今後も、本学の卒業生たちは、小学校英語における実践力として期待されていくでしょう。
宇土先生:
小学校では、英語ができない先生のなかには、ネイティブの先生が話し掛けると逃げてしまって授業の打ち合わせもできないという話を聞きますね。
宮川先生:
現場の先生たちは、小学校の英語必修化で本当に困っているようですね。
でも、椙山の「毎日英会話」を受講した各務さんなら、全然困らないでしょう?
各務さん:
ええ、英語での打ち合わせも問題なくできます。
最近は、児童のなかにも外国と日本を行き来している子や、外国にルーツを持つ子が増え、児童とのコミュニケーションや保護者との懇談会にも英語が必要な場面が増えていますから、大学時代に毎日繰り返しレッスンしてきたことはとても役に立っています。
それから、私は「ふれあい実習」で学んだことも大きかったと思います。
1年前期の「ふれあい実習」は授業を見学する「観察実習」なんですが、本格的な実習になると授業を進めることで精一杯になってしまうのに対して、「ふれあい実習」は一歩引いて客観的に観察できるので、教育実習とは違う気づきをたくさん得られたと思っています。
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教育を学んだからこそ、多方面に広がる、将来の選択肢

甲斐先生:
各務さんは、最初から小学校の先生をめざしていたんですか?
各務さん:
いえ、実は最初は中学の教員になろうと思っていました。
でも、大学で総合的に学んでみたら、いろんな教科からアプローチできる小学校がとても魅力的に思えて、小学校教諭に志望変更したんです。
國井先生:
本学では保育・初等教育専修でも希望者は小学校教諭の免許を取得できるので、最近は保育・初等教育専修から小学校教諭を希望する人が多いですね。
なかには「教師に向かない」と気づく学生もいますが、そういう人もちゃんと一般企業に就職しています。そうした選択肢の多さも本学の特色ですね。
浅井さん:
私も、3年生までは保育士になるつもりだったのですが、情報処理の授業で先生に「才能がある」と褒めていただいたことがきっかけで、いまIT企業のサポートデスクで働いています。
パソコン操作についてお客さまからいただいたお問い合わせに対し、電話でご説明をする仕事なので、大学でわかりやすく話をする技術として「起承転結をつけて説明をする方法」を教えていただいたのがたいへん役に立っています。
宇土先生:
確かに、それはある意味「教育」ですね。
早川先生:
授業でプレゼンテーションをする機会も多かったと思うので、それも役立っているのではないですか?
浅井さん:
そうですね。会社でも電話で話すのを怖がる人がいるんですが、プレゼンテーションの授業で慣れていたお陰で、私はまったく抵抗がなくて(笑)。それも、教育学部で培ったものだなと感謝しています。
森棟先生:
加藤さんは、豊田市役所にお勤めでしたね。
加藤さん:
はい。都市整備部の公園課というところに配属され、公園の遊具の管理や安全点検をしています。
大学時代に学んだ子どもの目線や、子どもが何に興味を持つかといった子どもの特性を考慮しながら業務にあたっています。
たとえば、いくつか穴ぼこができていてどれを優先的に直すべきかを判断しなければならないとき、子どもならこのルートを通るだろうなとか、ここは気づきにくいから危険だなというふうに子どもの目線で予測することができるのが、保育を学んだ私の強みになっています。
國井先生:
なるほど。教育学部の学びが、意外な分野でも活かせるものであることがよくわかりました。
加藤さん:
はい。そもそも私が公務員を選んだのも、保育実習で保育の現場を見て、子育て制度に力を入れたいなと思ったからです。将来は、保育課でこども園や子育て支援にかかわっていければと考えています。
森棟先生:
そうですか。それはぜひ、頑張っていただきたいですね。
國井先生:
こうした卒業生の頑張りが、現在の教育学部の礎になっているんだなと、今日は実感できましたね。最近では、卒業生が学生の実習指導してくれるケースも出てきて、喜ばしい限りです。
宮川先生:
大局的に見ますと、おそらく3年後くらいに教員採用が減らされるのではないかといわれていますが、私は、本学の教育学部は生き残っていけるだろうと確信しています。それは、就職率98%(*)という確かな実績や、卒業生たちが築いてきた教育現場での信頼があるからです。
伊東さん:
保育士に関しては、需要はますます大きくなると思います。
椙山女学園大学にも2015年に附属保育園ができ、ゼロ歳児からの保育を実習で経験できるようになりましたし、後輩たちにはぜひ頑張って保育の道に進んでほしいですね。
宇土先生:
教育学部開設10周年という節目に、創成期の貴重なお話や大学での学びを活かして活躍している卒業生たちの生き生きしたお話を伺うことができ、たいへん有意義な座談会になったと思います。
また、教育業界以外にも活躍の場が切り拓かれていることがわかり、在校生やこれから椙山の教育学部を受験しようという高校生の励みにもなったと思います。
本日はありがとうございました。
 
 
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